【第三者委員会報告書】(12月23日更新)
2022年12月23日
社会福祉法人千葉育美会
理事長 林 隆 春
ご 報 告
当法人では「浮間こひつじ園」で発生しました事件の検証を行うため、当法人から独立した外部の弁護士による第三者委員会を設置して調査を依頼することとして、10月10日付けで外部の弁護士3名を選任しました。また、同委員会の要請により、10月26日付けで当法人とは利害関係のない外部の有識者1名を専門家委員として追加選任しました。
第三者委員会からは、12月10日にすべての調査を終えた旨の報告を受け、報告書を受領しましたので、その要旨をご報告します。調査事項等は次のとおりです。
(調査事項)
本年9月16日未明に発生した入居者に対する殺人事件につき
1 管理運営体制上の問題点の指摘
2 虐待案件の再発防止のため必要な効果的な研修のあり方を含めた管理運営体制の提言
(第三者委員会委員)
弁護士委員 水野英樹弁護士 ・ 柴田勝之弁護士 ・ 藤田尚子弁護士
専門家委員 石橋伸彦(社会福祉法人神聖会理事長)
当法人では、この報告書に指摘された再発防止策の提言を受けて、12月18日開催の理事会で年内に具体的な項目の洗い出しと工程表を年内に作成し、来年3月末までに改善策のとりまとめを行うことを決定しております。具体的な改善策がまとまりましたら、改めてご報告させていただきます。
以 上
〈 要 旨 〉
第1 第三者委員会への委嘱事項
特別養護老人ホーム「浮間こひつじ園」において本年9月16日未明に発生した入居者に対する殺人事件につき
1 管理運営体制上の問題点の指摘
2 虐待案件の再発防止のため必要な効果的な研修のあり方を含めた管理運営体制の提言
第2 推定できる本件事件発生の原因
1 直接的な原因
被害者は介護職員にとって負担が大きい入居者であったことなどが原因となり、被害者と加害者との間で感情的な軋轢が生じたものの、夜勤においては加害者が1人で被害者の介護を担当しており、相談できる相手もおらず、「ケース履歴」には軋轢を記載してその存在を訴えたにもかかわらず、この記載に対応する職員がおらず、軋轢が高まり、本件事件当日に被害者との間の何らかのトラブル等により加害者が激高し、犯行に至ったものと推測される。
2 間接的な原因
従来型の介護能力に対して被害者の介護負担が過大であったこと、職員間のコミュニケーションには不備があったこと、研修はほとんど実施されずマニュアル等も不備であったこと、本施設においては虐待等の問題点を隠蔽する体質があったこと、職場の雰囲気の悪さと高い離職率に起因する人員不足であったこと、2019年(令和元年)の虐待事案をふまえた改善計画が実行されていなかったこと、施設長などの管理者が能力不足であったことが、間接的な原因と認められる。
第3 調査事項についての結論
1 調査事項1(管理運営体制上の問題点の指摘)について
(1) 組織としての基本的なシステムが機能不全であったこと
(2) 組織内での役割分担や責任が不明確であったこと
(3) 介護職員に対する支援体制が欠如していたこと
(4) 研修が実施されず、マニュアル等が整備されていなかったこと
(5) 虐待・事故等に関する報告・対応体制が不備であったこと
(6) ケアプランに基づく介護が徹底されていなかったこと
(7) 夜勤における体制が不備であったこと
(8) 施設長に対する監督・チェック体制が欠如していたこと
2 調査事項2(虐待案件の再発防止のため必要な効果的な研修のあり方を含めた管理運営体制の提言)について
(1) 組織としての基本的なシステム(意思決定システム、管理者から職員への意思・情報伝達システム、管理者が職員の困り事や意見を吸い上げるシステム、職員間のコミュニケーションのシステム、職員人事を決定するシステム、入居者を決定するシステム等)を再構築すること
(2) 組織内での役割分担と責任を明確化すること
(3) 介護職員に対する支援体制を整備すること(ユニット会議や職員面談の実施、相談窓口の創設等)
(4) 研修を実施し、マニュアル等を整備したうえで活用すること
(5) 虐待・事故等に関する報告・対応体制を整備すること
(6) ケアプランに基づく介護の原則の徹底
(7)夜勤における体制を整備すること(巡回職員の創設、フロア間での定時連絡、他の職員による援助やチェックの体制、引継時間の創設)
(8) 施設長に対する監督・チェック体制の構築(統括責任者の設置、施設長を通さない理事会への通報・相談窓口の設置など)
【重要】千葉育美会よりお知らせ(9月27日更新)
令和4年9月27日
9月25日、社会福祉法人千葉育美会経営の特別養護老人ホームである浮間こひつじ園の
ご入居者様の命と健康を守り、健やかな日々を送っていただくことを責務とする施設で
ここに、亡くなられたご入居者様のご冥福をお祈りしますとともに、ご家族、関係者の方に深くお詫び申し上げます。
介護職員が自ら担当するご入居者様に手をかけるなどということは、絶対にあってはならないことで、信頼を寄せていた相手から暴行を受けたご入居者様の心情に思いを致すと、さぞかしご無念であったであろうと思います。
今回の事件を未然に防げなかったという点において、当法人は、役職員一同、重大な責任があることを認識しており、今後、特別養護老人ホームとしての信頼回復を念頭に一丸となって再発防止策の確立に努める所存です。
また、ご入居者様のご家族に対しましては、今後とも、誠意を尽くして対応させていただきますことをあらためてお約束します。
今回の事件によって、浮間こひつじ園の他のご入居様やそのご家族、近隣住民の方のみならず、他の特別養護老人ホームなどに入居されているご入居者様やそのご家族など、多くの関係者の方々にご不安とご迷惑、ご心配をおかけしておりますことも、深くお詫び申し上げます。
2022年9月26日
社会福祉法人千葉育美会
理事長 林 隆春
浮間こひつじ園
施設長 高岡 健一
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令和4年9月16日
関係者各位様(お詫び)
本日、当法人が運営する特別養護老人ホーム「浮間こひつじ園」において、ご入居者様が怪我をした状態で発見され、お亡くなりになるという、あってはならない痛ましい事件が発生いたしました。
ここに、お亡くなりになったご入居者様の方のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族様とご関係者の方々に深くお詫び申し上げます。
現時点では、お亡くなりになった原因も解明されておらず、また、発見した職員らも警察による事情聴取を受けている状態で、法人として事実確認の詳細を把握できておりません。
そのため、当法人といたしましては今後の警察の捜査を待っている状況であり、警察の捜査及び管轄である行政に全面的に協力することはもとより、お亡くなりになられたご入居者様のご遺族様に対しましても誠心誠意を尽くして対応させていただく所存です。
社会福祉法人千葉育美会
理事長 林 隆 春
特別養護老人ホーム浮間こひつじ園
施設長 高岡 健一